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アンビエント・ミュージック(2)

演奏のために。

アンビエント・ミュージックにおいてもっとも重要なのはムードである。どのように作曲し演奏するかに関わらず、常にそれが第一番目に来なければならない。とりわけ即興演奏の場合は重要である。モチーフもメロディも調性も奏法も、なにもかもが事前には決定し得ない(決定できるようならばそれは即興演奏ではない)音楽において、ただムードだけは間違いなく決定することができる。他のジャンルはともかくも、アンビエントにおいては、それは不可欠である。

例えば演奏する場に合わせてムードを決めても良い。オーディエンスの様子に合わせても良い。一方で、それを全て無視しても良い。アンビエントは場に従属する音楽ではなく場を創る音楽であるからだ。
ではムードとは何か。これは余人には決めがたいものである。演奏者自身が決めるものであり、さらに言えば彼自身にしか関わらないものである。
演奏者はムードをガイドラインとして走り出す。走り出してしまえば、あとは音楽が自らを創り上げていく。ただ最初のひと押し、フランケンシュタインのモンスターに命を与えるための雷鳴の一閃として不可欠なのである。
だが精神論は役に立たない。もしあなたがムードをどう決めればいいか分からないのであれば、そのためにスケールがあるのだ。調性に縛られてはいけないが嫌ってもいけない。臆することなくスケールを決めればいい。

ムードが決まらないのにスケールを決められないというのであれば、まずいくつかの音を弾いてみればいい。その音の連なりが気に入れば、そこにスケールがあり、ムードが決まる。

それでいいのかと言われれば、もちろん良くはないのだが、しかし分からない出来ないと言って何もしないよりはずっと良い。重要なのは、例え醜い怪物であろうとも、まずは生み出すことなのだ。

これは理論的な話ではない。また普遍的な話でもない。単純に、僕がそうしているという事でしかない。だから人によってもっとうまい方法があるかも知れない。だがそれは当人が考えればいい。

それから、ムードは一曲を通じて変わらなくてもいいし変わってもいい。経験上、5分くらいで少しずつシフトしていかないと、平板な音楽になりがちだ。が、それもケースバイケースであり、どのくらいで切り替えるかは自分の感覚を信じる事。
ただし、怠惰のために変えるべきところで変えないことは慎むこと。ムードを変えるのは案外骨が折れる。次のムードをどうするかということと、次にどう弾くか(技術、技法)ということを決め、それを現在のものから切り替える必要があるからだ。
自信がなくて切り替えられない人は、いっそ一度曲を終わらせてしまうこと。

などなど。